二人旅 その9

8月1日(木)

5時起床。
私がお弁当作りをしている間に、ムスメは念入りのお化粧。お年頃です。

今日は、聖なる場所『モン・サン・ミッシェル』へ。
ムスメが行きたがった場所の一つ。日本にいる時には、パリから距離もあり、お金もかかるので、行くつもりはなかったのですが…。
「高いんやろ。今度来た時にするわ」と言うムスメ。遠慮する姿を見ると、ついついがんばる母。やはり、せっかく来たのだから、と、急きょツアーを申し込みました。日本で、個人で行けるよう電車でチケットを取れば、もっと安くでいけたのに、と、ちょっと後悔。でも、ムスメが行きたいと言ってるのに、行かないわけにはいかない。

7時15分に、集合場所へメトロで向かい、バスに乗り込みました。観光ツアーなるものは、初めてなので、かなり新鮮。いつもは、満員のバスだそうですが、今回は29人の参加で、ちょっとゆとりのある車内で、いい感じです。さて、出発!4時間半かけて向かいます。
途中のトイレ休憩から、「一人ひとり、座ろか。ちーねぇ、寝てて寄りかかってくるから、前でゆっくり寝たら」と、ムスメに前の席に促され、前の席に。仲が悪い二人組に見えるような。ま、いいか。音楽を聞きながら、ゆったりしたいムスメと、前の席でぐっすり眠りこけた母。ガイドさんの、「はい、見えてきましたね~」の声で、「ん?」と起き、向こうの方に、あのすばらしい建物の姿を見つけて、ばっちり目覚めました。

$Merci!

広い広い平地に、空を突き刺すように立つ『天空の城ラピュタ』のような修道院。形が、何とも、素晴らしい。1300年の間に、巡礼地になったり、要塞や牢獄になったりと、形を変えつつ、今がある。世界遺産でもあるため、観光客がこれまた、すごいのです。

バスを降りて、シャトルバスで島まで向かいます。そして、歩いていくと、狭い参道には、店がぎっしり。

$Merci!

ツアー会社と提携しているのか、バスの中で聞いたおすすめのお土産物屋で、クッキーの試食をし、帰りにはぜひって感じで、おすすめされました。そこで、昼のご飯付きの人たちと、付いてない人とに分かれました。私たちは、もちろん、付いていない人たち。ムスメが、高校の先生にモン・サン・ミッシェルのツアーには、名物料理のオムレツが付いていて、値段が高いのにおいしくない、というのを聞いてきていたので、「絶対食べたくない!」と言い、お弁当持ちにしたのです。早々に、お弁当を食べ、修道院へ。

このツアーのガイドさんは、中の案内はしないので、自分たちでまわります。チケットだけ渡されていたので、入り口の行列に並ぶと、『groupe』という表示を発見。しかも、誰もいない。ひょっとして、とスタッフに聞くと、「こっちだよ」って、言って、誰もいない方を指差してくれました。これが、団体のよさかぁ、と痛感。でも、ガイドさん、肝心なこと言ってないよなぁ。と思いつつ、長い行列を通り越し、すんなり入れました。

中は、ひんやりとしていて、クーラーが効いているみたいでした。ムスメは、写真の撮り方に、工夫を凝らし、納得いくまで撮っていました。ここが、牢獄としても使われていたということに、昨日に引き続き、非常に興味を示していたムスメは、「この下、絶対、牢獄や!」と、薄暗い地下室みたいなところを、熱心に見ていました。天井のアーチや、ステンドグラスがすてきで、二人で「いいな~」とじっくり見てまわりました。
$Merci!

$Merci!

この建物は、数世紀にわたって、増改築が繰り返されたため、中世のさまざまな建築様式が混ざりあっていて、建築の勉強ができるそうです。建築のことは、よくわからないけれど、雰囲気がここで、変わっているというのは、ちょっとわかったかな。

$Merci!

$Merci!

$Merci!

気持ちのいい修道院を満喫し、出てくると、今から、並んで入る同じツアーの人たちがいました。やはり、昼食で時間がかかったようです。滞在時間は、3時間しかなく、その半分ぐらいをお昼時間にとられるというのがわかり、このツアーは、弁当持ちがおすすめです。その人たちも、入り口で行列に並んでいました。団体入り口を教えてあげてから、おすすめのお土産物屋で、いろいろ物色しました。ムスメは、友だちにお土産を買って、「これで、オッケー!」と、満足。

集合時間に、余裕も持って帰ってくることができ、時間配分もバッチリでした。
「楽しかった~!よかった!」と、ムスメ。満足いただけたようで、なによりです。来た甲斐がありました。

$Merci!

4時間半、またバスに揺られて、帰ってきました。オペラ座の近くで降り、アパートの最寄りのバス停に停まるバスに乗って帰ってきました。夜の9時前。でも、まだまだ明るい。スーパーで、ワインとパンを買っていると、閉店時間になり、自動ドアが手動になり、店内にいる客のため、ガードマンが開けてくれる。ムスメは、ガードマンがどこを押すのか見ていたので、平気な顔で勝手に押して出ると、「え?」っていう顔して見られていた。
その、堂々たる態度。ムスメよ。どこでも、生きいけるよ。

帰ってから、二人でパスタとサ
ラダを食べました。
そこで、ムスメから重大発表!
「明日、別々に行動しよう。アミ、一人で行くから」と、涼しい顔のムスメ。
「え? 大丈夫なん?」と、心配する母。
「だって、言ってたやん」と、パスタを口に頬張るムスメ。
「何を?」と、ハテナの母。
「とうが、『パリに行ったら、そのへんに一人、置いて来たら』って言うてたやん」と、口をとがらすムスメ。
「あ~、あ~、あ~」と、思い出した母。

そうなのです。日本でのいろんなものに守られた環境から、ポンと知らない世界に置かれることで、鈍くなって感じなくなっている感性が、研ぎ澄まされ、また、自分のこと、まわりのこと、いろいろ考えさせらるのではないかと、いう意味で、一人で行動させたら、なんて、話していたのを覚えていたのです。

「そ、そうか。そうするか」と、心配しつつ、どもる母。
「うん、そうするわ!」と、うれしそうなムスメ。

かわいい子には、旅をさせろ、だ。

一人旅ではないけれど、一人ショートトリップ。

さてさて、どんな冒険をしてくるのでしょうか。

って、眠れない母ちゃんでした。

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