スイス〜ドイツ〜フランス旅 その3

ヴィトラデザインミュージアムで行われたオットの仕事関係の展示に加え、

同行しただし巻き屋さんが、そこでのパーティーで、

京都から運ばれた道具たちを使って、いつものように出汁をとってだし巻きを焼いて、

パーティーの参加者に振る舞うことになっていた。

しかし、現地での、ガスのことやら卵や水のことやらで、

出発直前まで、大学側は、あらゆる手配や大量の書類提出で大変だったようだ。

詳しくは知らないが。

大学の担当の先生の努力により、

無事、パーティーでたくさんのだし巻きを提供することができた。

ワタシはこの時、オットと包丁屋さんと一緒に裏方に徹していた。

一緒に振る舞われたドリンクのグラス洗いである。

ドイツは、どうやら使い捨て容器は使わないようで、

全てガラスのコップだったので、

それこそ、運び込まれる使用済みのコップは、大量だった。

そうこうしているうちに、だし巻きはフィニッシュ。

大盛況だった。

ということで、

もう一つ、参加者4000人規模の大きなヴィトラサマーパーティーなるものが、

3日後に行われるということで、

京都出発の時点で、出汁をスープとして提供する、だけの話だったのが、

大盛況を受けて、大学側から、このパーティーでも、

だし巻き提供をしてほしい、と要請が前日にあった。

これには、一同慌てたが、

やるしかないのである。

だし巻き屋さんは、だし巻きを焼き、

当初の予定の、出汁のスープも提供することになっていた。

しかし、だし巻き屋さんは、だし巻きで手がいっぱいになる。

では、誰が出汁を提供するのか。

オットは、家で、何度も出汁をとっているので、慣れているのだが、

な、ぜ、か、気づいたら、ワタシがとることになっていた。

出汁。とったことなんて、ほんと、ないんだけど、、、

いいのか、こんな重要なパーティーで。

と思いつつ、

な〜んかやらんといかん状況だったので、

でっかいお鍋に、大量の昆布が入れてあり、そこから、ワタシが引き継いでやることになった。

しかも、その鍋に3回、出汁をとる。

沸騰直前に、昆布を取り出し、かつおを1回目投入。水を加え、そして、もう一度かつお2回目投入…

細かく時間も指示があり、

慣れない作業に、汗がダラダラ。

でも、出汁のいい香りに、ホッとしつつ、無事しっかりとることができ、

提供できるまでにいたった。

 

あらかじめ、だし巻き屋さんがとって冷蔵庫で冷やしていた冷たい出汁を学生や通訳さんがカップに入れ、

とりたてのあったかい出汁をワタシが入れて、準備完了。

さて、そこから、

パーティー参加者に、味わっていただかないといけない。

ここからは、ワタシの慣れた分野である。

出汁を英語でなんて言うのかを、通訳さんに聞いて、

「フィッシュ ブロス ス〜プ! どうぞ〜。

こっちが、コールドで、こっちがホット」と、

日本語交じりのヘンテコ英語と営業スマイルで、呼びかけると、

次から次へと、笑顔でとっていってくれた。

何回もおかわりに来てくれた人もいて、嬉しかったな〜。

と、まぁ、夕方から9時ごろにかけて、

ずっと、ブースの端っこで、がんばった。

 

 

メインのだし巻きは、それこそ大好評で、

機転を利かせて、予定数よりたくさん焼いていただし巻き屋さんは、

やはり、プロの技を見せ、

現地在住の日本人たちは、「え〜、わざわざ京都から来てくれてるの〜」と、

感動しきりだった。

職人の技は、言葉がなくても、伝わる。

すごいな〜。

 

サマーパーティーも無事終了し、

これで、わたしたちの旅の任務は終了。

 

何はともあれ、素人の出汁取りでも、

たくさんの人に喜んでもらえたので、

「やっぱ和食、その基本中の基本の出汁は、世界遺産だね〜」と、

一人しみじみ感動しておりました。

 

 

 

いつもの仕事とは、全く違う分野ですが、

いい体験でした。

 

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