2泊3日の高知旅の最終日。
どこに寄り道しつつ、帰ろうかと相談して、
行きの電車の中で、オットが話しかけたサッカー少年が、善通寺駅で降りる話を聞いて、
なんだか、善通寺に行ってみたくなったのだ。
善通寺といえば、弘法大師が生まれた場所。
今回の旅、なんだか、弘法大師に導かれているよう。
オットが、「八十八ヶ所巡り、してみる?」
と、言い始める。
それは、結構大変かも。
ということで、
行きと同じ土讃線を戻ることに。
四国の秘境を通るこの線。
運転手は、駅に止まるたびに、何度も手元やら周りをしっかり指差し確認しつつ、
昔ながらの運転をし、幼い頃に家の近くを走っていた電車を思い出す。
ポスターにもなっている坪尻駅は、行きも帰りも、しばし停車。
すんごい山奥なのだが、一旦、前進してきた道を、少しバックして、
分かれた横の線路に入った所にある駅に停車する。
スイッチバックというらしい。
行きで、この駅に入った時、バックしたので、二人でびっくりした。
すぐさま、ネットで調べてみたら、
有名な駅だった。
始発で高知を出たので、善通寺駅まで、3時間半。9時過ぎには着いた。
しかし、なんとも早朝から、暑い。
駅から、荷物を持っての徒歩20分は、きつい。
少し歩いた所にある、レンタル自転車を借りることに。
一回100円は、いいね〜。
しかも、荷物を預かってくれる。
自転車で、スイスイ〜と善通寺へ。
入ってみると、右手に五重の塔があり、左手に大きなクスノキが。
ここから、ワタシは、大好きな場所に来た雰囲気が漂い、ワクワクしていた。
本堂に入ると、大きな大きな薬師如来様がおられ、
じっとそのお顔を見つめていると、なんだか、涙が止まらなくなったのだ。
ズルズル鼻をすすりながら、しばらく、そばを離れられなかった。
そのあと、御影堂へ。
そこで、弘法大師は産まれたそう。
その地下を、一周する約100mの真っ暗な回廊を歩く戒壇めぐりという修行の場がある。
怖がりのワタシが、「やりたい!」と言うことにオットは驚き、
二人で恐る恐る、地下へ。
真っ暗な道を、左手で壁を触りながら、進んでいきます。
「左手は、壁から離さないでください」
と、入り口で言われ、ぐっと左手に力が入る。
「暗闇の中で自己を見つめなおし、お大師様と血縁できる道場です」とチケットに書かれていたが、
本当に何も見えない道。南無大師遍照金剛と唱えながら、進んでいきます。
しばらく行くと、奥殿の真下で、稚児大師と両親像が祀られており、弘法大師のお言葉が流れます。
暗い道を歩いてきて、明るくなったこの場所で、ホッとしつつも、
うんうんとお言葉に反応していたが、何も覚えていない。
お言葉が終わると、また、真っ暗な道を進み、出口を目指す。
100メートル、結構長い。
明るい出口が見えると、ほっとした。
と同時に、足がやたらと重い。階段が上がりにくかった。
オットに、足が重くて動きにくいことを伝えると、何度も怯えていた。
しばらく唱えていたお経を続けていると、
次第に、足は戻った。ヨカっタァ。
と、不思議な体験をしつつ、
受付のおじさんに、オットが、唐突に自分の誕生日を伝えると、
「それは、弘法大師が高野山に入定された日ですね」と言われ、
ワタシは、なんや高野山に入られた時か〜と言っていたが、
売店の前に飾られていた、弘法大師が生まれてからの歴史をたどった絵の最後に、
高野山に入定、と書かれていて、「?」と思ったオット。
もう一度、受付のおじさんに聞きに行く。
「入定というのは」と聞くと、
「亡くなられた日ですね」と言われる。
そうか、そうだったのか。
オットの誕生日は、亡くなった日だったのだ。
そこで、今まで同じ誕生日だと思って生きてきたオット。
「ぼくは、弘法大師の生まれ変わりなんや」
はい。
オットは、どこまでもポジティブです。
そうして、善通寺をゆっくり観て回り、
自転車に乗って、駅へ向かう。
さて、そこから、どうするか。
お腹も空いたので、高松に立ち寄り、うどんを食すことにした。
高松行きの鈍行に乗り、
途中、坂出で快速に乗り換えて、高松へ。
ふと下を見ると、綺麗な庭園みたいなものが見え、
なんだろう、とグーグルマップで確かめると、
瀬戸大橋記念館だった。
ん? なんか、海渡ってるけど。
瀬戸大橋?
あれ、高松に向かってない〜
ワタシたちは、乗り換えで、乗る電車を間違えたのだった。
いきなり、四国とおさらばになり、一路岡山へ。
「え〜〜〜〜、もう、うどん食べる気満々やったのに、どうしてくれよう〜」と言いつつ、
オットは、しゃ〜なし、これはもう帰るしかない、と思っていたよう。
そこへ、
急に、京都へ向かうのとは、反対方向に行きたくなったワタシ。
「尾道行かへん?」と、自然に言葉が出る。
「そう来たか〜」と、嬉しそうなオット。
すぐさま、予定変更。一路、尾道へ。
岡山から1時間半で、尾道に着くと、
うどんではなく、名物のラーメンを食すことに。
駅から近くのお店に入り、この旅初めての外食をした。
ラーメンを堪能した後、坂道の階段を登り、千光寺をお参りした。
ここでも、弘法大師がいらっしゃった。
本尊の千手観世音菩薩は、33年に一度、ご開帳される秘仏だそうで、
この目でしっかりとお会いすることができた。
ゆっくり写真を撮りながら、
日も暮れはじめそうだったので、
もう少しいたいな〜、という気持ちを抑え、
京都に戻ることにした。
電車にゆらりゆられて、4時間半。
家に着いたのは、夜の11時過ぎ。
2泊3日、
またもや、思う存分、遊びました!
いいね〜。
昔、年をとったら、
夫婦で旅行するっていいな〜、と思っていたが、
今、わたしたちは、そういう年になっていることを実感。
まだまだ、
行きたいところはたくさんある。
動けなくなるまで、
動きたくなくなるまで、
動きたい。
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