餅は餅屋

今は、ひっそりとしたわが自宅を子どもたちの工房として使っている一階。

釘を打ち込んでしまった穴やら、強力接着剤の塊やら、彫刻刀で削った無数の溝などで、ボコボコの机。

絵の具もいっぱいついていて、歴史を感じる唯一のものである。

絵を描く時に、「ボコボコで描きにくい!」という、子どもたちの苦情は、数年前からあったのだが、

粘土板や厚紙を敷いたりして、ボコボコ回避をしてきた。

 

この工房の机は、18年前に、以前の工房を設計してもらった時に、作ってもらったもので、

足にする部分と天板がバラバラで、高い机にも低い机にもできる、すぐれもの。

ただ、天板を載せているだけなので、端に手を置いて立ち上がると、

バンと、天板が浮いてびっくりするという、難もあるけれど、

手軽に高さが変えられるのが、便利だった。

120㎝の正方形の天板が2枚。

つなげると大きな机になった。

それも、今の自宅の工房に移動するまでに、3回引越し、

その間に、部屋のサイズに合わせて、のこぎりでギコギコ切って、

小さくしていった。

二つあるうちの一つは、

最後に、今の自宅に工房を持ってくるにあたって、

あまりに部屋が狭いのと、ボロボロなのとで、廃棄した。

残りの一つを、なんとかかんとか使ってきたのだが、

思い切って、ここらで、新しくしようかと、自分で作るつもりで、ホームセンターに板を買いに。

しかし、欲しい板は、どう持っても、重い。

でも、安いし〜、と自分でDIYするつもりで、ほぼ購入する気になっていた。

それを見て、次女が全力で止めてきた。

これは、重すぎる。腰やられるで〜、と。

ワタシが欲しがったのは、180㎝の杉の無垢板。

16キロ。

高くしたり低くしたり、頻繁に机の高さを変えるために、

上げ下ろしするのには、腰にきてしまうのは、目に見えた。

では、なぜ、作ってもらった工房の机の天板は、軽いのか。

それは、中が、ハニカム構造になっている分厚い段ボールのようなものが入っているからである。

サイズを小さくした時に、切ってわかったことだった。

ホームセンターで重さを体感してから、

あ〜、やっぱりこれは、餅は餅屋だな、と思った。

もう一度、机を作ってもらったところに依頼することにした。

以前の工房を設計してくれた夫の友人に連絡をし、

作ってくれた建具屋さんに来てもらった。

ボロボロになった天板は、亡くなられた先代が作られたもので、

資料が残ってないからと、見にこられたのは、若い後継者。

先代の作られた形のように、角や側面ができない、ということだったが、

とりあえず、頑丈に作ってもらえたら、と、

希望を伝えて、作ってもらうことに。

 

新年度は、新しい机でできるぞ!

子どもたち、びっくりするかな〜、なんて思っていたら、

突然のコロナ休業に。

 

休業して一週間。

新しい天板が、運びこまれた。

大きく、頑丈にしてもらったので、

なんだか、部屋の扉のような感じだった。

新しい匂いがする。

まだ、技術も、先代にはかなわないのかな、と思うような仕上がり具合だったが、

まぁ、よしとしよう。

しかし、休業。

別注で作ってもらった天板は、

工房にとっては、かなり大きな出費だったが、

休業明けが、1日も早く来るよう祈るしかない。

 

今日から、全国に出された緊急事態宣言。

遅すぎるやろ、と毎日ぼやきながら、

ムスメに、オタクと言われるばあばは、

日常と変わらない外出自粛を、

さも、実行しているように見せつつ、

新しい机となった工房で、

ひとり工房を楽しんでいる。

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